2022年03月31日

映画『Fukushima50』

映画『Fukushima50』.jpg

門田将明さんのノンフィクション、
「死の淵を見た男 吉田昌朗と
福島第一原発」を実写映画化した作品、
「Fukushima 50」を見ました。

いわゆる「3.11」のときの、
原発事故の様子がよくわかり、
とても興味深い作品でした。

2011年3月11日、M9の地震が発生し、
それに伴う巨大津波が福島第一原子力発電所を襲い、
すべての電源が喪失、原子炉の冷却ができなくなり、
メルトダウン(炉心融解)の危機が迫る…そして、
ってお話。

まず、「3.11」のとき、
福島第一原発で何が起こったのかがわかります。
電源を失い、メルトダウンし、
やがて水素爆発を起こします。

次から次へと危機が迫ります。
危機と言ってもただの危機じゃない。
東日本すべてが壊滅状態になるかもしれない、
そんな人類史上に残る危機なわけです。

そんな未曽有の危機に立ち向かった人たちがいる。
所長の吉田昌朗(渡辺謙)をはじめ、
発電所にとどまった約50人の作業員たちです。

彼らは死を覚悟しながら決死隊となり、
作業に挑んでいきます。
まさに「決死」だなって感じました。
私が行きます、私が行きます。
皆、次々に手を挙げます。

その作業員の命を守るのが、吉田所長と
1・2号機当直長の伊崎利夫(佐藤浩市)でした。
彼らはお互いを励まし合い、ときにはぶつかり合い、
怒り、笑い、歌い、
そうやって自分の感情と戦いながら、
作業員の命を守り抜いていきます。

そこから感じることは、
決死隊の覚悟や所長や当直長の使命感。
自分だったらできるだろうか。
あの場所で手を挙げて、
私も行きますと言えるだろうか。

そして事態は良い方向へ落ち着いていきます。
何をしたから良かったということではなく、
結果的に良かった、そういう落ち着き方でした。

それはきっとFukushima50の人たちの、
気持ち、想い、願いが、
事態を収束させたように思います。

落ち着いたあとの吉田と伊崎。
ふたりはまさに「同志」だなって感じました。
使命感を共有して立ち向かい、
力を合わせて乗り越えた同志。
きっとふたりにしかわからない、
原発や事故に対する想いが
あるんだろうなって思いました。

事故を経験して人生観も変わるのでしょう。
伊崎は反対していた娘の結婚も後押しします。
穏やかな表情の伊崎がつぶやきます。
「吉やん、今年も桜が咲いたよ」。
そこに桜が咲いていました。

原発事故、
そして奮闘する作業員の様子を
垣間見ることができること、
そこが興味深い映画です。

原発事故を題材に映画っぽく、
パニックムービーに仕立て上げているのも、
映画を楽しむという点においては良いと思います。

ただ、パニックムービーとしては、
いささか盛り上がりに欠ける印象はあります。
中盤にかけてハラハラドキドキは増していくものの、
後半はどちらかと言うと、
作業員の家族を巡る話にフォーカスし、
物語は穏やかに落ち着いていきます。

でも、それがリアルなんだろうなって思います。
つまり、作業員の決死の作業は劇的でしたけど、
原発事故が収束したのは、
結果的に良かったというところなので、
劇的には描きづらい。
なので、こう描くしかないんだろうな、と。

あと、作業員たちがヒーローで、
当時の首相が悪者という形で描かれていますが、
これには注意が必要だとも感じました。

実際に首相が現場を訪れたことは、
多くの批判を招き、僕も同じような考えでしたけど、
細かい事情などはわからないので、
首相の行動の是非については、
多くの書籍など、目を通す必要があるとは思いました。

ただ、首相を悪者として描くことによって、
ハリウッド的というか、
映画としてわかりやすかったとは言えます。
なので、映画として割り切れば、
良しとするところでしょうか。

「トモダチ作戦」も出てきます。
僕のとある歌の歌詞にも登場するワードです。
映画のラストでは復興五輪についても触れています。
今、見ると、虚しさを感じることになります。
本当は復興のはずだったのに…と。

あと、この作品を通して、
原発について、
もう一度考える必要があるなって思いました。
「3.11」から11年経ちますけど、
作業はまだ終わっていないわけで。
そんな中、最近大規模停電が起きるかもしれない、
そんな現状もあるわけで、
この機会にいろいろ考えてもいいと思いました。

それと、考えることをもうひとつ。
吉田が伊崎に送った手紙にはこう書かれてありました。
「俺達は何が間違っていたか聞かれたが、
自然をなめていた」と。

自然への畏怖をしっかり感じること、
そして、後世へ語りついでいくこと、
この作品の一番言いたいところかなって思いました。

リーダーシップを発揮した吉田と伊崎を演じた、
渡辺謙さんと佐藤浩市さんの演技がすごいです。
ふたりの演技力がこの作品自体を守り切った、
そんな印象さえあります。

首相を演じた佐野史郎さんの悪役ぶりも素晴らしい。
観る者の心を芯からヒートさせるでしょう。
男だらけの作業の中、女性職員役の安田成美さんの
優しい佇まいにほっこりします。
あと作業員の妻役の中村ゆりさんが、
とっても綺麗です。

あの日、福島第一原発で、
何が起こったかを知りたいとき、
吉田、伊崎をはじめ、
Fukusima50の決死の覚悟を感じたいとき、
そして、原発の今、未来を考え、
自然への畏怖と後世に語り継ぐ意義を感じたいとき、
オススメの映画です。
posted by 彷徨えるピアノマン at 23:00| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2022年03月28日

春の訪れ

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おうちの桜が咲きました。
伐採されていらなくなった
桜の木をいただいていたのですが、
綺麗に咲きました。
春の訪れを感じます。

去年、春の訪れを待ちました。
冬に入院していた母ちゃんが、
退院することになっていたからです。

「出演者がひとり、傍観者がひとり」と
繰り返し呟いて意識が薄くなり、
入院してからも一週間眠っていた母ちゃん。

コロナ禍でお見舞いも許されない中、
とてもとても心配して、
やっと許されたお見舞いで久々に見た母ちゃん。
とってもいい笑顔で、
ホント心から嬉しかったんです。

退院してきたら今までより、
しっかり守っていこう。
その決意とともに病院を後にしました。
そして春を待ちました。

このときの母ちゃんの笑顔、
ずっと続くと思っていました。
信じていました。

春の訪れを待つ季節は、
この先もずっと、
あのときの母ちゃんの笑顔を
思い出すことでしょう。
posted by 彷徨えるピアノマン at 23:00| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2022年03月25日

映画「男はつらいよ」

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国民的人気シリーズ映画の記念すべき第1作目、
「男はつらいよ」を見ました。
寅年ということもあって。
寅さんの破天荒ぶりに、笑って泣いて、
おおいに楽しめる作品でした。

中学生のときに家出した車寅次郎(渥美清)は、
20年ぶりに葛飾柴又に帰ってきたものの、
妹さくら(倍賞千恵子)の見合いをぶち壊してしまい、
そして…ってお話。

まず、寅さんの破天荒ぶり。
さくらの見合いをぶち壊したうえ、
さくらを張り倒したり。

今だったらコンプライアンスなんちゃらに、
引っ掛かりそうな行動、言動の数々。
お互い好意を寄せていたであろう、
さくらと博の仲もぶち壊すことになってしまったり。

でも、そんなはちゃめちゃなことをしても、
結果的にみんな笑顔になったり、幸せになったりするんです。
そこが面白い。

寅さん、もう勘弁してくれよってなっても、
最後には思わずプッと笑ってしまったり、
ほっこりした気分になったりする。

だから、みんな寅さんが好きだし、
見てるこちらも笑ってしまうし、幸せな気分になれる。
なるほど、“国民的”だなって思いました。

そこには人情、感情を感じます。
寅さんにぶち壊されても、博を追いかけたさくら。
帰ってきたさくらの
「お兄ちゃん、わたし、博さんと結婚する」に
思わず涙…。

そして、結婚式。
博と疎遠になっていた博の両親。
その博の父親のスピーチ。
予想に反する感動的スピーチに、
感極まる寅さんの
「おとっつぁん!おっかさんよぉ!
ありがとう!」に号泣…でした。

なるほど、これほど心揺さぶられる作品なのですね。
「日本人」をすごく感じる作品でもあるし、
「日本」の良さを感じる作品でもあります。
古き良き日本、この頃の、いい時代ですね。

寅さんの啖呵売の口上をはじめとした、
セリフがとっても面白い。
めちゃくちゃだけど、いいこと言ってたり。
こんな人がそばにいたら大変だろうけど、
でも楽しいんだろうなって思います。

そんな寅さんを演じる渥美清さん。
唯一無二というか、
渥美清さんがそのまま寅さんですね。
で、その演技、セリフも含めて、
感情を揺さぶられます。

さくら役の賠償千恵子さんが綺麗。
博役の前田吟さんが爽やか、日本男児。
おいちゃん、おばちゃん、タコ社長の
キャラクターが気持ちいい。
演技が自然でうまいなぁって。

葛飾柴又、矢切の渡しなど風景も楽しめるし、
日本の古い家屋、街並みも味わい深い。

寅さんの破天荒ぶり、啖呵売口上を楽しみたいとき、
そんな寅さんに振り回されつつ、
笑って、泣いて、幸せな気分に浸りたいとき、
そして古き良き日本を味わいたいとき、
オススメの作品です。

映画「男はつらいよ」
監督:山田洋次
脚本:山田洋次、森崎東
出演:渥美清、倍賞千恵子、光本幸子、笠智衆
posted by 彷徨えるピアノマン at 23:00| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする